平成30年産の食味ランキング 金色の風と銀河のしずく

先月末に食味ランキングが発表されました。

154産地品種のうち55銘柄が特A評価とのこと。実に三分の一を超えます。このことから近年は基準が甘くなってるのではと感じる消費者の方もいらっしゃるようですが、僕は生産地が食味ランキングを重視し、取り組みがレベルアップした結果と思っています。ランキングで高評価を得るお米の傾向を分析し、サンプルの選定などで対策が行われたためではないかと。

そもそも産地と品種という大きなくくりで、そこに含まれるすべてのお米を評価することは不可能です。穀検に提出されたサンプルと市場にでるお米のすべてが同じ味・品質であるはずもありません。しかしそれでも、その年の気候や地域の風土・慣習の大まかな傾向を掴むにはとても重宝なレポートです。ランキングから過剰な意味を感じるのもどうかと思いますが、かといって決して意味のないお祭りではありません。

あと、近年の自治体をあげての新品種については、品種自体がキャラを持っていることに加え、生産者の限定、栽培方法の統一、出荷基準の厳格化、出荷ルートの限定などから、穀検のサンプルと市場に出るものとの乖離は比較的ちいさいのではないでしょうか。

ところで、特A産地品種のうち現在のウチの在庫で該当するのは、青森津軽・青天の霹靂、岩手県中・銀河のしずく、長野東信・コシヒカリ、島根・つや姫、福井・いちほまれです。
岩手県の二番手ポジションの銀河のしずくが特Aだったのですが、一方でハイエンドの金色の風がなんとA´の評価でした。

県知事さんは記者会見で「お米マイスターからの評価は高い」とおっしゃっていましたが、僕も一昨年の秋に頂いたサンプルのアンケートではよい評価を書いたと記憶します。

それで改めてこの2品種を食べ比べてみました。

まず銀河のしずくの方が甘味が強いです。粒感もしっかりしている。最近は粒感を重視する傾向があろうかと思いますが、今風というか若い人にも受けがいいのでは。岩手県では「バランス」の良さや「かろやか」さをアピールしていますが、決して地味ではなくメリハリのあるお米です。

そして金色の風ですが、まず玄米・精米の外観でシラタが目立つのが気になりました。あと、アミロース低めの品種特有のモチ臭が少し感じられて、これは好き嫌いあると思います。 お米自体が軟らか目で、精米にもちょっと気を遣うタイプです。器によそうときのシャモジも雑に入れると粒をダメにしてしまいそうです。
しかし炊き上がりはツヤもきれいで舌触りも大変なめらかです。しっとりとやわらかいご飯です。しっとりしているけど、低アミロース品種の重たい感じがそれ程なくふわっとしています。やわらかくて粒感というほどの主張はないのですが、けっして粒はつぶれておらず表面はなめらかさをもっている。この儚げな感じは改めておいしいと感じました。もしかしたらオールドタイプなのかもしれませんが、やわらかで粘りのある王道の味です。面倒だけども大切に扱えば応えてくれる品種でしょうか。どんな状況でもアベレージが出せるタイプではなさそうです。どこかお店に食べに行って締めの食事にこんなご飯が出てきたら「さすがっ!」となりますね。

金色の風のごはん

個人的には好きな品種です。来年は良い結果となることを期待しております。